埼玉県北本市の住宅の現場で気密測定をおこないました。
「気密測定」一般の方にはあまりピンとこないワードだと思います。
住宅の窓や玄関扉、その他の開口部、例えば中と外を貫通している給気口や換気扇の開口部をすべて目張りしてどれだけ空気の漏れが少ないかを測定するのです。
住宅の気密性能はC値という値で評価され値が少ない方が性能が良いことになります。
C値とは住宅における相当隙間面積のことで、家全体の隙間面積(㎠)を延床面積(㎡)で割った数値です。
想像してみてください。
家一棟でどのくらいの隙間が空いているのかを。
住宅の気密がなぜ必要なのか?という素朴な疑問があると思います。
ライフスタイルも関係してきますので一概には言えないのですが全館空調をおこなっていて、一年中家の中を空調しているような場合は気密が取れているに越したことはありません。
一方、うちは窓を開けて通風するのが好きで季節を問わず窓を開け閉めしているというお宅はそれほど気にしなくてもいいような気もしますが・・・。
但し窓を閉め切っているときは気密がある程度取れていないと隙間風が入ってきますので最低限の性能はあったほうが良いでしょう。
もう一つの視点から言うと、C値が優れている家は壁体内結露を防げるということです。
部屋の内側で気密を取ることによって冬場の加湿暖房した空気を壁の中に入れないこと。
壁の中に湿った空気を入れてしまうと壁の中で空気が冷やされて内部結露をおこしてしまいます。
つまり内部結露が起こりにくく、換気扇が上手く働き加湿された部屋の空気を換気してくれます。
では最低限のC値とはどんな値なのでしょうか。
3種換気の家でC値が悪いと隙間だらけで換気機能が上手く働かなくなってしまいます。
この換気機能が働くには最低限C値1.0を確保することが必須のようなのです。
詳しくは高断熱高気密住宅の大家、松尾和也氏のYOUTUBEチャンネルなどを参考にされると腑に落ちると思います。
具体的にC値1.0というのはどの程度隙間が存在するということなのでしょうか。
例えば延べ床面積が30坪(100㎡)の場合で考えてみると隙間面積は100㎠になります。
家全体の隙間が10cm四方ということです。
ハガキ1枚も無いくらいの隙間ですね。
このくらいの隙間なら24時間換気がうまく働くということなのです。
ただし窓を開けっぱなしにしてしまうとこのC値も関係なくなってしまいますが。
測定のプロセス
その1、家の窓を閉め、配管なども目張りして目に見える隙間を完全に塞ぎます。
その2、バズーカ砲のような機械を設置、このバズーカ砲が唯一部屋内と部屋の外に繋がっています。
その3、スイッチを入れて部屋の空気を掃除機のように外に吸い出す
その4、だんだんと部屋が負圧になる、例えるなら空のペットボトルを吸う感じ、
壁はペットボトルのように凹まないですが目張りしたビニールの部分が僅かに凹んでいます。
その5、機械が隙間量を計算(だいたい5分くらい吸い続ける)
その6、測定完了
昨今はC値0.1を切るような超々高気密住宅もでてきていますが、性能の競い合いで数値だけが独り歩きしているように伺えます。
過度な性能にとらわれないことも重要です。
住宅は暮らしやすさ、コストバランス、快適性、視覚的な美意識などトータルで考えることが重要だからです。
さてさて、楚々の家の測定結果公開です。
C値0.5 という結果でした。
まずまずではないでしょうか。
工務店の社長さんはじめ、棟梁と職人さんもひと安心です。
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